CIRQUTUREが考える手仕事の価値は、ただ時間をかけ、人の手で作ることへのこだわりではありません。帽子は、同じ素材を使い、同じ設計をもとに作っても、ひとつとしてまったく同じものはできません。人の手をかけることで、その佇まいが変わります。生地の厚みや伸び方、毛足の向き、装飾の重さ、かぶったときに生まれるわずかな傾き。私たち作り手は一つひとつの素材の状態を見ながら、縫う位置や糸を引く力、形の整え方を指先で確かめ、細かく調整していきます。その判断の積み重ねが、帽子の表情とかぶり心地をつくります。
CIRQUTUREの帽子には、シルクの花びらを一枚ずつ重ねたもの、繊細な色に染めた羽、美しいレースやビーズを一粒ずつ縫い留めたものがあります。協業工場に受け継がれてきた戦前からの手作業による木型成型を生かした帽子を手がける一方で、帽子づくりの既成概念にとらわれず、パターンと縫製による立体構築を取り入れることもあります。私たちは長年、帽子デザイナーとして全国の帽子職人と協業し、帽子を形づくるあらゆる技術と技法に触れてきました。その経験が、古き良き技術と新しい発想を組み合わせ、大量生産では生まれにくい味わいや佇まいを追求する原動力となっています。
手仕事の魅力は、均一ではない揺らぎの中にもあります。生きてきた革には革の流れがあり、手で編まれた麦わらには、それぞれの癖があります。その違いを消すのではなくて、素材と語り合いながら、作り手が向き合った証として生かしていく。それが、CIRQUTUREのものづくりです。
そして私たちの使命は、ものを作るだけではなく、その技術を次の仕事へとつなぐことでもあります。帽子を作る人、飾りを作る人、編む人、縫い付ける人。帽子職人だけでなく、CIRQUTUREが信頼する、手仕事を得意とする人たちにも、継続的な仕事が生まれる仕組みをつくることを目標として活動しています。
人から人へ受け継がれてきた技術と、日本のものづくりが持つ繊細さを次の世代へ残し、また新たなものづくりや仕事へとつないでいくこと。それもまた、CIRQUTUREが考える手仕事の価値です。